妊娠40週目の出産予定日が過ぎ、予定日を超過しても産まれる気配のないお腹のベビー。
翌日から入院して陣痛促進剤を打つ予定でいたところ、まさかの直前に自然陣痛が訪れました!疲労困憊な28時間に渡る出産レポートです。
兆候もなく「出産予定日」に
39w6d。出産予定日の前日に妊婦検診で病院へ。
内診を受けた結果、「子宮口は指1本程度」しか開いておらず、まだまだ産まれそうにないとのこと。
お腹の赤ちゃんの状態を見てもリスクはなさそうなことから、「このまま自然陣痛が起こるのを待ち、それでも陣痛が来ないようだったら41週6日目(赤ちゃんが正常に生まれる「正産期」の最終日)から入院して陣痛促進剤を打ちましょう」と医師からの提案を受け入れました。
ちょうど年末年始に差し掛かるタイミング。
年末に産まれてお正月を病院で過ごすよりは、お正月を夫とゆっくり過ごし、三が日が過ぎたあたりで産まれればいいなと思うように。
祈るような気持ちで年を越しました。
予定日超過後からの「おしるし」
正産期に入ると大抵「おしるし」と呼ばれる生理のような血が出るようになります。
生理と違って、赤茶色の「ごはんですよ~」の「佃煮のり」のようなものが出てきます。これは子宮口が開くときに出るもののようです。
私の場合、出産予定日を過ぎてから「おしるし」が始まりました。
40w2d:おしるし(軽く汚れるくらい)
40w3d:おしるし
40w4d:おしるし
41w2d:おしるし(ナプキンが全体的に汚れるぐらい)
41w3d:おしるし、不定期に軽い生理痛(前駆)
出産予定日を過ぎてからは、いつ破水するかわからないので夜用の生理用ナプキンを常にしていたので「おしるし」が出ても下着が汚れずに済んでよかったです。
前駆と陣痛
正産期に入ってから生理痛のような不定期な痛みが続く「前駆陣痛(前駆)」は度々ありました。
「前駆」は弱い陣痛のことで、「本陣痛」が一定間隔で痛みが訪れるのに対し、不定期に痛むものです。前駆から陣痛が始まることがあるので、前駆が始まると出産が近いイメージです。
私の場合、本格的な前駆が始まったのが出産日の前日からでした。
41w4d:3:00、8:00、16:00前駆、20:00陣痛?
41w5d:6:30陣痛
41w4d(出産日前日)
20:00から始まった前駆。
23:30頃には3分間隔になっており、産院に連絡。
「今から来てください」とのことで入院セットを持参し、夫に車で連れて行ってもらいました。
陣痛室に通され、NSTをつけて横になります。
1時間くらいその場で陣痛の間隔が短くなるのを待つものの、だんだん間隔が遠のき、気付くと10分間隔に。
41w5d(出産日)
陣痛室で日付は変わり、助産師さんから「明日から入院が決まってるのでこのまま前倒して入院してもいいですし、一旦帰っても大丈夫ですがどうしますか?」と聞かれ、眠気もあったため一旦帰宅することにしました。
家に帰ると2時頃。
前駆なのか陣痛なのか痛みを感じつつ、ひと眠り。
6時30分
痛みで目が覚めました。
慌てて陣痛アプリを起動し、陣痛の間隔をはかってみると、3分を切ってる状況。
急いで産院へ電話し、「今すぐ来てください。このまま入院になるのでその準備もしてきてください」とのこと。
7時00分
夫に車に乗せてもらい、産院へ。
陣痛の痛みがひどく、そのタイミングが来るたびに何かを思いっきり握りしめて痛みをそらすため、車に揺られるのがつらすぎました。
マタニティ学級で陣痛が始まったら何か食べてエネルギー補給しないと陣痛が遠のくと指導を受けたので、陣痛バックからじゃがりこを取り出して陣痛がおさまる合間にボリボリ食べることに。さらに途中でコンビニによっておにぎりを1個買ってもらい、産院の駐車場で食べてから陣痛室へ向かいました。
7時20分
「このまま入院だから」と、ブラ以外を脱いで出産用のマタニティ服に着替え、LDR( 陣痛・分娩・回復までを同じ部屋で行うことができる)へ移動しました。NSTをつけて陣痛間隔を確認。
この辺りから陣痛の痛みが激痛に。
陣痛のたびに自分の口から自分の声とは思えないうめき声が漏れます。
夫が気を紛らわせようと気を使って話しかけてくれますが、本当にしんどくて、「話しかけないで」と厳命しました。また、視界に入るのも気になるので頭側のソファーにずっと座っててほしいと伝えました。
12時00分
陣痛は続いているものの、状況に変化のないまま時間だけが過ぎます。
夫はランチに一旦院内の喫茶スペースへ。
私はお昼の病院食をいただきました。
起き上がるのもしんどいので、寝たまま箸でつまみ食い。
固形物はあんまり食べたくないし、喉を通らず。夫に陣痛バックから「ウイダーinゼリー」を取り出してもらい、それをひたすら吸っていました。
15時00分
おやつが出ました。
状況は相変わらず。何も進展のないまま、定期的に訪れる陣痛の痛みにひたすら耐え続けます。
声を上げっぱなしなので喉は乾くものの、枕元のペットボトルを手に取って、キャップを開けて、飲むという行為自体がしんどくてできない状況です。夫に頼んで飲ませてもらうのも億劫なくらい。
15時35分
陣痛とともにプチっという破裂音。
体内から溢れるように出てくる生暖かい水分。
夫に「ナースコール!破水した」と伝える。
自分で枕元のナースコールを押すこと自体無理なレベルで体力消耗してます。
医師による診察を受け、この時点で子宮口が5cm。
16時30分
破水後の感染症予防で抗生剤を飲む。
看護師さんにペットボトルのジャスミン茶を飲ませてもらい、水分補給。生き返る。
医師の診察があり、子宮口が7cmに。
17時30分
医師の診察。赤ちゃんがすごい降りて来てるとのこと。
18時00分
点滴の開始。
18時15分
子宮口全開に。
出産
子宮口全開になったものの、そこから約6時間かけて出産しました。
赤ちゃん自体は約2900gという小さ目にも関わらず長引いたのは、妊娠してから20kg近く太っていたために、産道に脂肪がついてしまったせいのようです。体重管理は本当に大事だと痛感しました。
19時30分
陣痛のたびにベッドの手すりをつかんで痛みに耐えます。
口から声にならない獣のような声が自然と漏れます。
陣痛が終わるたびに一呼吸し、ひと時の休息で息を整えます。
ひたすらその繰り返し。
陣痛の間隔が少し開いてきたので助産師さんから「母乳マッサージ」の提案を受け、してもらいます。
私は痛みで言われるがまま、されるがままの状態。とにかくこの苦痛から早く解放してくれるなら何でもいいからやってくれーの心境でした。
20時15分
子宮口全開から2時間が経ち、赤ちゃんがなかなか降りてこない状況。
医師から「このままだと出産が長引きそうなので陣痛促進剤を投与したい」との話があり、夫に承諾を求め、夫も「最善を考えてくださってると思うのでお任せします」とサインしていました。
夫の立ち合いの良い点は、何か判断が必要になった場合に妊婦に代わって判断ができる点です。陣痛で疲労困憊してる妊婦には判断できる状況ではなく、荷が重すぎます。
20時30分
陣痛促進剤の投与開始。
陣痛の間隔が短時間で訪れるようになり、陣痛のたびに「痛い」と口走るようになりました。私の頭部の後ろにいた夫がその時見たものは、羊水がなくなって?ぺったんこになったお腹の中で赤ちゃんが動いてるのが見えたとか…。
22時00分
ベッドが分娩台へ変形し、出産の体勢に。
しかし、なかなか赤ちゃんの頭が出てこず…。
23時30分
NSTがけたたましい警告音を響かせ、あたりが騒々しくなります。
お腹の赤ちゃんの心拍数が低下して危険な状態に。
医師と助産師2人が慌てて病室に入ってきます。
私は酸素マスクを装着され、呼吸をしっかりとるように指示されます。
そして、陣痛が来たら分娩台の腰の付近にある手すりを握りながら、自分のお腹を見るよう力むように言われます。
とにかく痛いのと、苦しいのと、疲れたのと、お腹の中の何かを早く出したい一心です。
10回くらい力んだかな?出すまでの時間はすごく長かった気がします。
23時50分
「頭が見えてきた」
「もう一回、はい呼吸して、はい力んで」
「ゆっくり吐いてー、吸ってー、赤ちゃんに酸素送って」
「頭つかめる。次の次くらいで切開ね」
「痛くなったら教えて。力みながら、あご引いて、視線はお腹にむけて」
「痛くなった!?お腹見て」
「そうそう上手、もうちょっと」
「出てきた。あー、次。次で出そう」
お股に何かが挟まってる感覚。
ただ痛い、苦しい、つらい、早く終わってくれ。
ああ、また陣痛。
「痛ぃいいい!!!!!」
「視線はお腹で力んで!!」
思わず声が出た瞬間、目の前に飛び込んできたのは赤ちゃんでした。
「おぎゃぁあああああああ」
赤ちゃんの産声が室内に響き渡ります。
産まれた嬉しさよりも、ようやく痛みから解放されたことに安堵しました。
出産後の処置
出産後は、そのまま子宮内の胎盤を出し、局所麻酔をして切開した部分を縫ってもらいます。
だいたい1時間くらいかかります。
その間、夫は産まれた赤ちゃんの写真を撮りながら、体重や身長の測定などを見守ります。
途中、「胎盤は見ますか?」と聞かれましたが、血とか苦手なのでお断りしました。
人によってはバースプランに「胎盤みたい」と書く妊婦さんもいるそうです。
処置が済み、助産師さんに産褥ショーツをはかせてもらって完了。
カンガルーケア
カンガルーケアとは、出産後早期に母子接触を行うことで母子の絆を深め、母乳が出やすくなったり、育児放棄率が低下するという効果があります。かかった産院でも実施しており、そろそろ抱っこという話が出できたので、
「生まれた赤ちゃんは最初に夫に抱っこをお願いします」と伝えました。
妊娠期間から出産。
そして今後の産後。
ずっと支えてくれた夫への感謝の気持ちでした。
ぎこちなく抱っこする夫。
うれしそうな表情を浮かべ、私もうれしくなりました。
助産師さんにスマホを渡して3人の写真を撮影してもらいます。
そのあと、赤ちゃんを枕元に置いて、しばらく腕枕。
小さい呼吸音。小さな身体。小さな手。
こんなものがお腹にいたのか…と不思議な気分でした。
病室へ
カンガルーケア終了後(1時間くらい?)、私は病室へ行くことに。
「赤ちゃんは預かりますか? 同室もできますが、どうしますか?」
「疲れて眠いので今日は預かっていただけますか」
「では、赤ちゃんを連れていきますね」
その後、お風呂に入れないので身体を温めたタオルで拭いてもらい、入院着にお着換え。
「トイレに行っておしっこが出るか試してください。あまりおしっこを溜めると身体に悪いので、無理そうなら管を通して出します。一人で歩けますか?これが替えのナプキンです」
出産直後に排尿チェック
LDRの部屋なので、室内にトイレも完備。
仰向けの状態から体を横に倒し、手すりをにぎってゆっくり上半身を起こそうとすると、
「ああ、そのまま座ると痛いので、正座で。正座の状態から足を下ろしてください」
と助産師さん。
言われた通りに正座をして、足をベッドからおろして立ち上がります。
その瞬間、膣から大量の液体が出ます。漏れてないか心配に。
そのままトイレへ行き、産褥ショーツを脱いで腰掛けます。
おむつみたいに大きなナプキンに大量の血が。おしっこしたと思うけど、感覚がなく、ちょっと自分でもわからず。トイレットぺーパーで患部に触れるのがこわく、そっと押さえるようにぬぐい、ウェットコットンで患部を清潔にします。
全てがスローモーションのような動きでした。
たっぷり10分はかけて、ナプキンを交換して部屋に戻ります。
「おしっこ出ましたか?」
「たぶん」
「しみるような感覚ありました」
「はい」
「じゃあ、大丈夫かな。できれば6時間ごとにトイレに行って、おしっこ出してください」
出産すると尿意の間隔がバカになるので、時間を決めていくのが良いとのこと。
「あと、悪露はどうでしたか?」
「出血はいっぱい出てました」
「血の塊みたいなのは出てましたか?」
「いいえ。血だけです」
血の塊が出たらまずいので、そのときはすぐ知らせてくださいとのこと。
病室で睡眠
あとは歩いて病室に向かいます。
夫が心配しながら寄り添ってくれます。
産院の方針で夫の付き添いができないので、病室についてベッドに横になると、夫は「じゃあまた」と行って帰っていきました。
灯りが消えて、一人に。
まだ自分が産んだという実感がわかず、ふくらみのなくなったお腹に手をあてては胎動がないことに寂しさを感じました。
産後ハイもあって、なかなか寝付けず、横になりながら夫とLINE。
空が白みがかる頃に眠気が訪れ、ようやく長い1日が終わりました。
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