春になって温かい日がちょっとずつ増えてくると気になるのが「花粉」。最近では1歳児でも花粉症を発症するケースがあり、5~6歳で花粉症になって病院を受診する子供も増えてるとか。赤ちゃんが小児花粉症にならないよう対策することにしました。
目次
小児花粉症が増加している
東京都福祉保健局が2017年にまとめた「花粉症患者実態調査報告書(平成28年度)」によると、1987年から10年おきに東京都はスギ花粉症患者の集計をとっています。
スギ花粉症患者数の推移を見てみると全体的に増加していることがわかります。
その中でも注目すべき点は、0~14歳の小児患者数の増加です。
1987年 | 1997年 | 2007年 | 2017年 | 30年で | |
0~14歳 | 2.4% | 8.7% | 26.3% | 40.3% | 16.79倍 |
15~29歳 | 14.6% | 22.1% | 37.1% | 56.0% | 3.83倍 |
30~44歳 | 16.1% | 34.0% | 32.2% | 56.2% | 3.49倍 |
45~59歳 | 7.3% | 19.5% | 33.5% | 47.9% | 6.56倍 |
60歳以上 | 2.7% | 8.1% | 14.2% | 33.9% | 12.55倍 |
調査開始の1987年には2.4%だった小児のスギ花粉症は、30年後の2017年には40%を超えており、0~14歳の患者数が約16倍に増え、全年齢層で一番患者数が増加しています。
赤ちゃんは花粉症にならない?
小児花粉症が増えているものの「赤ちゃんのうちは花粉症にならない」という流説をネット上で目にすることがありますが、実際どうなのでしょう?
調べてみると、花粉症の症状「目がかゆい、鼻水が詰まってつらい」などがあったとしても、赤ちゃんは泣くことしかできずそれを意思伝達できないために今まで気づかれにくかっただけのようです。
2006年の国立病院機構の調査では、
最年少のスギ陽性者は 1 歳 11 カ月のアトピー性皮膚炎男児であった.
J-STAGE「乳児期から思春期までの小児におけるスギ花粉感作の実態」
とあり、1歳児であっても花粉症の発症が確認されています。
冬生まれ、早生まれの赤ちゃんは花粉症になりやすい?
冬生まれや早生まれの赤ちゃんは生まれてすぐに初回の春を迎えるために花粉症になりやすいと言われますが、実際のところどうなのでしょう?
先の資料の続きには以下が記されています。
スギ陽性群では陰性群に比べ 1~3 月生まれが占める割合が有意に高く,吸入抗原(ダニ,カモガヤ)の重複感作率が高かった.
(略)
一方,最年少の陽性例は 1 歳11 カ月児であった.このことから感作には少なくとも2 シーズンの花粉曝露を要する…
J-STAGE「乳児期から思春期までの小児におけるスギ花粉感作の実態」
0歳児の花粉症の発症報告は今のところないことから、赤ちゃんが花粉症を発症するには最低2シーズンかかり、最短で2回目の春に発症するようです。
そのため早生まれであっても遅生まれであっても、2回目の春に花粉症になるリスクがあります。
生まれたタイミングによって花粉の洗礼を受けるタイミングが変わるために、早生まれが2回目の春となる1歳で”最短で”花粉症を発症する可能性があるのであって、遅生まれも2回目の春となる2歳で発症する可能性があるのは同じです。
遺伝や生活環境で花粉症になりやすい
アレルギーは遺伝しやすいので、「両親または片親が花粉症の子供」と「両親とも花粉症ではない子供」と比較すると、前者のほうが花粉症になりやすいです。これは遺伝的にアレルギー体質を持っているかどうかで花粉症を発症する潜在的リスクが変わるためです。
通常であれば花粉などのアレルゲン(アレルギーの原因)を体内に取り込んでも無害です。ところがアレルギー体質の場合は花粉を「異物」と判断して「IgE抗体」が作られやすいです。そして、このIgE抗体の量が一定の水準に達してしまうと、目のかゆみや鼻水などの症状が出て花粉症となります。
このようにアレルギー体質の場合、このIgE抗体が作られやすために花粉症を発症しやすくなります。
しかし、IgE抗体が多くても花粉症にならない人がいたり、遺伝的にアレルギー体質をもっていなくても花粉症になることはあります。
住んでいる場所がスギ花粉が飛散しやすかったり、住環境がハウスダストまみれであったり、生活習慣が不規則であったり、栄養のバランスが偏っていたり、ストレスによっても花粉症になりやすくなるので花粉症の予防は重要です。
赤ちゃんの花粉症予防
赤ちゃんの花粉症を防止する対策は主に2つあります。
1.花粉と触れる機会を減らす
花粉症を防ぐには、とにかく花粉との接点をなくすこと。
花粉症になっていない場合でも、花粉症の方のように生活することで花粉に触れる機会が減り、花粉症になりにくくなります。
・外出は午前中にする。昼12時と夕方18時がピークなので避ける。
・外出着はツルツルした素材にする。
・帰宅時は衣類をはたいて花粉を落とす。
・帰宅後、お風呂に入る。
・洗濯物は外に干さない。
・こまめに掃除機をかける。
2.乳児湿疹やアトピー性皮膚炎にさせない
アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎は、「アレルギー4大疾患」といわれていますが、その特徴として「アレルギーマーチ」という現象があります。
乳幼児の頃から湿疹やアトピー性皮膚炎が発症し、幼稚園から小学校に入学するぐらいに、ぜんそくが出るようになり、中学生になってぜんそくがおさまったかと思うと、今度は鼻炎が出るというように、成長とともに症状が進行していくのです。
「子供の頃ぜんそくだったんだけど、中学生になって今は鼻炎で苦しんでいます」と受診する患者さんがよくいらっしゃるのですが、このようにアレルギーというのは、常に「出場所」を見つけようとしているのがやっかいなところです。
中野こどもクリニック「アレルギーの遺伝」
このようにアレルギーは連鎖するため、赤ちゃんの乳児湿疹やアトピー性皮膚炎の予防は、花粉症の予防につながります。
赤ちゃんを乳児湿疹やアトピーにしないよう、お風呂での洗い方やスキンケアを徹底して予防しましょう。
というわけで、我が家は夫婦とも花粉症ではありませんが赤ちゃんが発症しないように、洗濯物は乾燥機か浴室乾燥、室内干しを徹底し、スーパーへの買い出しは9時もしくは15時頃に済まし、赤ちゃんと外出して帰ったら花粉を落としつつ、すぐに入浴して洗い流すようにすることに決めました。
がんばります!
コメントを残す